乳歯から永久歯へ生え変わる際に注意すべきこと
最初の永久歯は6歳くらいに生えてくる
乳歯列は、だいたい3歳前後に完成します。全部で20本の乳歯が生えそろい、そしゃくや発音の機能も安定してきます。その後、3年間くらいは乳歯列で生活を送っていくこととなるのですが、6歳くらいになると最初の永久歯が生えてきます。6歳臼歯とも呼ばれるもので、専門的には第一大臼歯といいます。ここから、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」が始まります。
混合歯列期は歯並びが悪くなる
永久歯は、親知らずを除くと全部で28本生えてきます。乳歯よりもかなり多くなっていますね。また、大きさや形なども乳歯と永久歯とでは大きく異なる点にも注意しましょう。当然ですが、永久歯の方が大きいため、顎骨の成長が十分でないとキレイに生えそろわないことがあります。歯ならびがデコボコになってきた?乱ぐい歯になってきた?など感じたら、すぐにご相談ください。
6歳になっても大人の歯が生えてこない
第一大臼歯が生えてくる時期には、個人差があります。6歳臼歯という名前が付けられてはいますが、5歳で生えてくる子もいれば、7歳になっても生えてこない子もいます。永久歯の萌出は、身体の発育とも関連しているため、6歳という年齢はあくまで目安としてお考えください。とはいえ、明らかに早い時期に生えてきたり、7~8歳になっても生えてくる兆しが全くなかったりするような場合は、何らかの異常が認められるかもしれませんので、一度、検査を受けることをおすすめします。
乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてきた
永久歯への交換は、原則として乳歯が脱落してから起こります。ですから、乳歯がまだ残っているのに永久歯が生えてきた場合は要注意です。乳歯が抜ける気配がなく、永久歯の萌出を邪魔するような場合は、積極的な歯科処置が必要となります。乳歯がグラグラになって、今にも抜けそうな場合は、経過の見るのが望ましいです。
乳歯が虫歯になってしまった
永久歯への交換を前にして、乳歯が虫歯になってしまった場合、いくつか注意すべきポイントが出てきます。
乳歯の虫歯が永久歯にうつる
乳歯のすぐ下には、永久歯が控えています。乳歯の虫歯を放置すると、歯の根の先から病巣が漏れ出て、永久歯に感染を引き起こすことがあります。この場合、萌出を控えている永久歯が虫歯なるだけではなく、その発育まで阻害することがあるのです。具体的には「ターナー歯」と呼ばれる病気で、永久歯のエナメル質の石灰化が阻害され、形態異常を招きます。ですから、乳歯はそのうち永久歯と生え変わるから、と考えずに、虫歯になったらすぐ治療を受けましょう。
永久歯が生えてこなくなる
乳歯の虫歯の重症化によって歯を失うと、永久歯が生えてこなくなることがあります。なぜなら、永久歯の萌出には乳歯からのシグナルが不可欠だからです。自然な形で乳歯が抜け落ちる場合は、すぐ下に控えている永久歯へとシグナルを送り、生えてくるべき時期を知らせてくれるのです。それが虫歯などの原因で早期脱落が起こると、永久歯がいつ生えてくるべきなのかわからなくなってしまいます。
乳歯の早期脱落で歯並びが悪くなる
虫歯や外傷などで早い時期に乳歯を失うと、数年間、歯列にすき間が空いた状態が続きます。私たちの歯は歯列内にすき間があるとそれを埋めようと動き出すため、本来あるべき永久歯の生えてくるスペースが失われてしまうのです。その結果、永久歯が歯列の外側にはみ出してしまい、出っ歯や乱ぐい歯、八重歯などの歯並びの異常を引き起こすのです。
歯の交換時期は虫歯のリスクが上昇する
乳歯から永久歯へ生え変わる時期は、2つの理由から虫歯のリスクが上昇します。
生えたての永久歯は虫歯になりやすい
最初の永久歯である6歳臼歯は、虫歯になりやすいことをご存知でしょうか?生えたての永久歯は歯磨きしにくく、汚れがたまりやすい傾向にあります。噛む部分の溝も複雑なので、しっかりとケアしなければすぐ虫歯になってしまうのでご注意ください。そのため、小児歯科では生えたばかりの永久歯にもシーラント充填を行うことがあります。
混合歯列期は歯並びが安定しない
上述したように、乳歯と永久歯が入り乱れる混合歯列期は歯並びがデコボコになります。その結果、清掃性が低下して、虫歯のリスクも上昇します。この時、しっかり歯磨きしないと、せっかく生えてきた永久歯まで虫歯になってしまうので十分な対策をとりましょう。
正常か異常かは歯医者でなければ判断できない
ここまで、乳歯から永久歯へ生え変わる時期に注意すべきポイントを解説してきましたが、実際にそれが正常か異常なのかは、専門家である歯科医師でなければ診断できません。ですから、お子さまの歯で少しでも気になる点が出てきたら、まず一度当院までご相談ください。精密に診査した上で、最善といえる対処法をご提案します。
まとめ
このように、永久歯への交換時期にはさまざまなトラブルが予想されますので、小さなお子さまがいらっしゃるご家庭では、それなりに準備をしておく必要があります。全く知識のない状態でその時期を迎えると、戸惑う場面も多くなるため要注意です。不安な方はいつでも当院までご相談ください。