口呼吸は成長の大敵 誰も知らない口呼吸の怖さ
ヒトは鼻で呼吸する生き物
私たちは、鼻で呼吸するのが正常な状態です。安静時には口が閉じており、鼻腔を介して酸素を取り込む生き物なのです。そのため、普段から口で呼吸している場合は、十分注意する必要があります。
口で呼吸してはいけないのはなぜ?
口で呼吸をすると、以下に挙げるようなデメリットが生じます。
お口の中が乾燥する
口呼吸による直接的なデメリットとしては、口腔乾燥が挙げられます。お口の中は普段、唾液によって湿度が100%に保たれていますが、空気の通り道になるとドライマウスを引き起こしてしまうのです。口腔内が乾燥すると、さまざまなトラブルが生じます。
唾液による作用が弱まる
唾液には、むし歯菌や歯周病菌、真菌などを殺す作用や汚れを洗い流す作用が期待できます。口腔内が乾燥すると、そうした作用が弱まり、お口の病気を誘発してしまうのです。
風邪も引きやすくなる?
外気が口腔を介して直接、喉の奥へと送り込まれると、風邪のウイルスも容易に侵入してしまいます。そのため、口呼吸をしている人は、風邪にかかりやすくなっています。
口呼吸が成長に与える悪影響とは?
ここまで、口呼吸による直接的な悪影響を解説してきましたが、実は口で呼吸することは、お子さまの発育や成長にまで弊害をもたらします。この点は、ご存知ない親御さまも多いのではないでしょうか?
お口周りの筋肉が発達しない
口呼吸が習慣かしているお子さまは、いわゆる“お口ぽかん”の状態となっています。お口周りの筋肉が働かず、弛緩している状態が慢性化するため、正常な発育が期待できなくなります。
顎の骨も発育しなくなる
顎の骨は、口腔周囲筋の運動と連動しながら発育していきます。よく噛んで、よくしゃべり、鼻で呼吸している子の顎の骨は、旺盛に発育しますが、お口ぽかんの状態が続いていると、顎の発育も遅れます。これはお子さまのお口の成長にとって、深刻な弊害をもたらすため要注意です。
顎の筋肉や骨の発育が遅れるとどうなる?
歯並びが悪くなる
口呼吸によって顎の筋肉や骨の発育が遅れると、歯並びの異常が認められるようになります。顎の骨の幅が不足していれば、乱ぐい歯や出っ歯が誘発され、上下の顎骨のバランスが悪くなると、受け口の症状が現れたりすることもあります。いずれも骨格的な異常に由来する歯列不正なので、治療の難易度も格段に上がってしまうのです。
正しく発音できなくなる
歯並びやかみ合わせの異常、口腔周囲筋の発育異常があると、正しく発音できなくなります。とりわけ小児期に発音障害が起こると、その状態で言語の学習が進んでしまうため、大人になってからも正しく発音できなくなるケースが極めて多くなります。これもまたお子さまの発育において、深刻なデメリットとなります。
口呼吸の治し方
上述したように、口呼吸にはたくさんのデメリットがありますので、認められ次第、改善するのが望ましいです。
親御さまが言葉で説明する
お子さまに口呼吸が認められたら、まずは親御さまが言葉でその悪影響を説明してあげましょう。お子さまが頭で理解して口呼吸をやめられるのであれば、それに越したことはありません。その際、口呼吸していることをしかりつけるのではなく、わかりやすい言葉でやさしく諭してあげることが大切です。
歯医者さんに相談する
お子さまの口呼吸は、言葉で説明しても改善できないことがあります。その場合は、歯医者さんに相談しましょう。歯医者さんは、いろいろな装置を使って、口呼吸を止めさせる方法を知っています。あるいは、口腔周囲筋を適切な方法でトレーニングすることでも、鼻呼吸へと移行できます。どんな治療法が適しているかはケースによって異なりますので、お子さまの口呼吸でお困りの際は、お気軽に当院までご相談ください。
口呼吸のデメリットを再確認しよう
このように、私たちは本来、鼻で呼吸する生き物です。激しい運動をした時などは、例外的に鼻で呼吸してしまうものですが、基本的に口で呼吸する必要があります。その状態が保てないと、以下に挙げるよう安デメリットが生じることを再度、確認しておいてください。
- 唾液による殺菌作用、自浄作用が期待できなくなる
- お口の中が乾燥する
- むし歯や歯周病のリスクが高くなる
- 風邪を引きやすくなる
- 歯並びが悪くなる
- かみ合わせが悪くなる
- 顎の筋肉と骨の発育が遅れる
- 発音が悪くなる
まとめ
口呼吸は、見落とされがちな習癖ですが、放置すると発育に深刻な悪影響を及ぼします。お子さまに“お口ぽかん”の症状が見られた場合は、口呼吸が疑われますので十分注意しましょう。対処が送れると、取り返しがつかないデメリットが生じることもあります。