子どもの落ち着きと口呼吸の関係 落ち着きのない子どもの特徴とは
落ち着きがないのは普通?それとも異常?
基本的に子どもは、大人と比べると落ち着きがありません。小さな子どもほどその傾向は顕著です。周りの刺激に敏感であったり、好奇心が旺盛であったりするのは、必ずしも悪いことではないので、年齢相応の落ち着きのなさであれば、とくに気にする必要はありません。けれども、近所の子どもや幼稚園、保育園あるいは小学校のお友達と比べて、明らかに落ち着きがない場合は、何らかの異常が考えられます。そこで第一に気にしていただきたいのが「口呼吸」です。
口呼吸と子どもの落ち着きの関係とは?
口呼吸とは、文字通り口腔を通して呼吸をする方法で、小さなお子さまによく見られます。大人でも全力で走ったあとなどには、息が切れて無意識に口呼吸をしてしまいますよね。そんな口呼吸をしている子どもには、いろいろな症状が認められます。そのひとつが“落ち着きのなさ”なのです。
口呼吸をしている子どもの特徴
口呼吸をしている子どもには、以下に挙げるような特徴があります。
お口ポカンの状態が習慣化している
お口ポカンの状態が習慣化しているお子さまは、口呼吸をしている可能性が非常に高いです。その表情はとても愛くるしいものなのですが、お口周りや全身の発育いにさまざまな悪影響を及ぼしかねないため、日頃から意識してチェックするようにしましょう。
頻繁に唇をなめる
上唇が下唇よりも白くなっていたり、頻繁に唇をなめたりしている場合も口呼吸が疑われます。口からの呼吸によって唇が乾燥している証拠です。
発音が不明瞭・滑舌が悪い
口呼吸で口腔周囲の筋肉や顎の発育が遅れると、発音が不明瞭となることがあります。あるいは、滑舌が悪くなることがあり、上手にしゃべれないのが口呼吸のお子さまの特徴です。
なぜ口呼吸になるのか?
子どもが口呼吸になる原因はさまざまです。主に以下に挙げるような原因が考えられます。
アレルギー性鼻炎などによる鼻づまり
風邪を頻繁にひいていたり、アレルギー性鼻炎を患っていたりすると、鼻づまりが慢性化します。その結果、口で呼吸せざるを得なくなるのです。
歯並びやかみ合わせの異常がある
歯並びやかみ合わせに異常があると、口呼吸が誘発されることがあります。最もわかりやすいのは上顎前突や開咬(かいこう)ですね。出っ歯である上顎前突では、上の前歯が唇を押し出してしまうので、結果として口が開いてしまいます。上下の歯列の間にすき間が生じる開咬も安静時に口が開いてしまう不正咬合です。これらは矯正治療を行わなければ改善が難しい症状です。
扁桃肥大
鼻腔の奥にある扁桃腺が肥大すると、鼻で呼吸しにくくなります。専門的には「アデノイド肥大」とも呼ばれる症状で、口呼吸が誘発されます。その状態が長く続くと、下顎の発育が遅れ、アデノイド顔貌という独特な見た目を呈するようになるため要注意です。アデノイド肥大に関しては、歯医者さんだけでなく、耳鼻咽喉科での治療も必要となってきます。
口呼吸で落ち着きがなくなるのはなぜ?
冒頭でも述べたように、口呼吸が原因で落ち着きがなくなる子どもがいます。これは口呼吸そのものが悪いというよりも、十分な酸素を取り込めない状態にあることが直接的に関連しています。皆さんも走った後に息切れして、口呼吸しているような状態では、物事に集中できませんよね。口呼吸をしている子どもは、常に十分な酸素が取り込めていない状態でもあるので、集中力に賭けてしまいます。その結果、落ち着きがなくなるのです。口呼吸をしている最中は、交感神経が優位になる点も落ち着きがなくなる理由のひとつといえます。
口呼吸はどうすれば治せる?
上述したように、口呼吸の原因はそれぞれで異なります。ですから、まずはお子さまの口呼吸の原因をしっかり突き止めることが大切です。歯医者さんであれば、口呼吸の原因を診断できますので、気になる方は一度歯科を受診しましょう。ちなみに、口呼吸は以下の方法で改善することが可能です。
呼吸法を矯正する器具を使う
歯医者さんでは、呼吸法を矯正する器具を使って、口呼吸を改善できます。ケースによって使用する器具も異なりますのでは、まずはお気軽にご相談ください。
歯並び・かみ合わせの治療
口呼吸の多くは、歯並びやかみ合わせの異常に由来しています。これらは歯医者さんでの矯正治療で改善することが可能です。逆にいうと、歯医者さんでの治療でしか改善することができない問題でもあるので、異常が見つかった時点で、できる限り早く歯科を受診しましょう。
まとめ
このように、落ち着きのない子どもは、お口周りや呼吸法に何らかの問題があることが多いです。発育期でなければ対処できないケースも少なくないので、心当たりのある方は一度当院までご連絡ください。